修復腎移植(病腎移植)についての国会議員さん等の発言

(敬称は、省略させていただいております。)

□5/13「修復腎移植を考える超党派の会」復腎移植容認の見解を出す

 ▽病気腎移植容認提言へ 超党派議連 厚労省見解と対立<2008510 朝刊(東京新聞)>

 厚生労働省が「原則禁止」とした病気腎移植について、与野党国会議員約八十人からなる「修復(病気)腎移植を考える超党派の会」(会長・杉浦正健元法相)が、正反対に病気腎移植容認の見解をまとめる方針であることが九日、分かった。議員立法も視野に、十三日に正式見解をまとめるが、自公民各党の厚労部会長ら医療行政に通じた議員たちによる反対論に、厚労省は苦慮しそうだ。

 厚労省や愛媛社会保険事務局は、宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)の万波誠医師らが手がけた病気腎移植について、保険請求が不当だったとして、同病院などの保険医療機関指定取り消しと、万波医師らの保険医登録取り消しを検討している。
 しかし、「見解案」によると、「超党派の会」は、症例の一部に「腎摘出の適応が適切だったか疑問がある」としつつも、臓器不足を考慮すると、病気腎移植は「第三者委員会によるドナーの疾患の客観的な評価や、適切なインフォームドコンセント(十分な説明と同意)の確認等を要件とすれば認められると考えられる」と判断。

 さらに、病気腎移植は、既存療法の組み合わせであり、臨床実施例の知見が蓄積されていると指摘。高度医療や先進医療の枠組みで、「保険診療を認めていくべきだ」とした。

 その上で、病気腎移植の中には、診療報酬請求を社会保険診療報酬支払基金で審査して適用した例もあると指摘。万波医師や病院を処分する「理由は認められるとはいえない」と、処分は不要との考えを示した。

□4/2「第五回修復腎移植を考える超党派の会」

○堤教授は、病理学者の立場から「担がん腎を移植に利用すると、がんが再発・転移するという主張の根拠になった『ペン論文』(1997)は、ドナー(臓器提供者)由来の持ち込みがんと、レシピエント(移植を受けた人)に新たに発生したがんとの区別がされていない。小径がんを有する腎臓を利用したレストア腎移植例(世界中で計78例)では、現在のところ、再発・転移例は1例もない」と強調した。

○光畑医師は、レストア腎移植原則禁止の大きな根拠とされた高原史郎氏(日本移植学会)が示した25症例のみの生存率・生着率の数字に触れ、「データ作成の時点で42症例すべてのデータがそろっているので、25例のみを使用するのは意図的。『世界で初めて10年目までの長期生存、生着率を調べた報告である』とするが、10年以上のものは25例中9例しかない。しかも、最も古い呉共済病院の症例は、作為的に除外されている」と不当なデータであると非難。

●会長の杉浦議員は、「議員立法で臨床研究としてレストア腎移植を進め、1人でも多くの患者さんを救うべき」

□3/24「第四回修復腎移植を考える超党派の会」

○藤田士朗・フロリダ大学助教授(アメリカ)は、日本の透析患者数の増加や極端に少ない移植件数、透析に比した移植の生存率の高さなどを概説した。

 さらに、「アメリカではドナー(臓器提供者)拡大策として、高齢者の方や感染症のあるドナーの活用、ドナーへの経済的な支援、より適合性を高めるためのドナー交換などが進められています」と紹介。そして、「肝臓や心臓など他の臓器では病的な臓器の修復利用が進んでおり、日本で行われた腎臓での活用に注目が集まっています」と発言した。その結果として、今年1月に開催された「米国移植外科学会・冬季シンポジウム」で、万波誠医師をはじめとするグループの「レストア腎移植」の発表が、同シンポジウムの演題トップ10に選出されたと報告した。

○通常医療としてすでに小径腎がんを修復するレストア腎移植50例を行っているニコル教授は、「術中リスクを許容でき、反対側腎が正常な患者さんの場合、全摘が臨床的に重要。部分切除は局所再発、外科手術的な合併症などの危険性もある。患者さんおよび医師が合意の上で選択すべきで、オーストラリアでは、医師や患者さんの多くが全部摘出を選択する。これは世界的にも同じような状況であるはず」

●古川議員(医師・弁護士)の「レストア腎移植は確立された医療と見るべきか、臨床研究として進めるべきか」との質問に、「すでに確立された医療だと考えている」とニコル教授が答えた。

○リチャード・ハワード元米国移植外科学会会長(フロリダ大学教授)は、会議中に国際電話で参加。「腎移植が極端に少ない地域では、ドナーとレシピエント(移植を受ける人)が十分にリスクとベネフィット(利益)を理解した上で、レストア腎移植を受け入れるべき。日本移植学会は否定的に考えず、移植数を増やす努力をすべきだ」と主張した。

□3/18「第三回修復腎移植を考える超党派の会」

■レストア腎移植を巡っては、昨年331日に関係4学会の共同声明が出され、7月にはこの声明を受けた形で厚生労働省が原則禁止の通達を出している。しかし、宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)の調査報告書が出されたのは、今年1月。すべての調査報告書がそろわないうちに下された原則禁止の性急な判断に、議員から疑問の声が上がっていた。そのため関係学会からの意見聴取が必要と判断され、この会が開催された。

●衛藤議員は「腎臓の中で全摘や部分切除、自家腎移植がどれだけあるという具体的なデータや腎がんについてもどのようになっているのか知りたい。それらが、本当に間違いなく標準治療で行われているのか、また(全摘したものは)絶対移植に使えないと説明されたが、実態ではそうではないという意見もあり、情報が少なすぎる」と具体的な資料の提出を求めた。

●最後に挨拶に立った杉浦議員は、「私はレストア腎移植推進の議員立法を念頭に置いています。臨床研究を国が奨励し、国の機関が実施すべき。専門家の方々などが研究して、一部分でも使えるものがあるというのであれば一人でも多くの患者さんを救うために、可能性がある限り病腎を活用するべき。私たちは真剣に考えています」と語った。

□病気の治療で摘出した腎臓を他の腎疾患患者に移植する、修復(病気)腎移植の是非をめぐる議論が転換点を迎えようとしている。これまで、この手術は宇和島徳洲会病院の万波誠医師のグループだけが実施したかのように伝えられてきた。しかし国会議員でつくる「修復腎移植を考える超党派の会」は、全国の病院で70を超える手術例が存在すると主張。厚生労働省も調査に乗り出した。(東京新聞)

□2/27「第二回修復腎移植を考える超党派の会」

●幹事長の衛藤晟一・自民党厚労部会長が口にするのは「もしかすると入り口で大きなエラーをしたかもしれない」というぬぐいがたい疑問だ。

 「厚労省の説明では、ともかく病気の腎臓の移植なんておかしいという話だった。だが、実際には病気の腎を修復して移植した例は他にもたくさんあった。それも保険適用している。なのに後になって、学会が医学的妥当性がないとする見解を出し、それに準拠して厚労省がすべての修復腎移植を原則駄目とした」

 衛藤氏ら議連が入手したデータによると、1985年以後に全国で行われた修復腎手術は90例あり、このうち76例は今回問題視されている万波医師らの手術とは別。いずれもがん、ネフローゼ以外の良性疾患の臓器だ。

「(修復腎移植で)助からない命を救われた患者はいるが困っている患者はいない。なぜストップをかけるのか、冷静に検証し直した方がいい。まずこの方法の是非を考え、手続きはその後整えていくべきだ。医療行政とは人の命をどう救うかということ。医療は人の命を救ったり苦しみをできるだけ小さくするためのもの。目的を忘れて手続き論だけに終始している。政治もそうかもしれないが今、役所が失っているのは志や方向性。どうすれば移植が進むかをもっと真剣に考えるべきではないか」

 また、今後について「学会関係者の意見のほか、修復腎移植をしている海外の医師らからなどさまざまな立場の関係者の話を聞きたい。保険指定取り消し処分の話とは直接関係ないが、連動する話なので、できれば処分が出る前に結論が出ればと思っている」とした。(東京新聞)

●会長 杉浦正健議員は、「腎臓の病気で困っている方はたくさんいる。修復腎移植がひとつの光明となる道筋が開けるのではないかと考えている」と挨拶。

●竹本衆院議員は「捨てられる腎臓があり、それで助かる人たちがいるという事実がある。臓器を取り出す時の説明は重要な問題だが、人の命が助かるということが最も重要だ」と発言。

●衛藤参院議員が「日本国内で数多くの修復腎移植が行われ、それを発表している論文も多数ある。あなたたちはそうした手術はまったく行われていないと説明してきたが、事実と異なっているのではないか。原則禁止の通達もすべての調査委員会の結論が出ないうちに、最も成績の悪い市立宇和島病院の25例のみをもとに判断しているのは意図的過ぎないか」と述べるなど、厳しい意見が相次いだ。

●診療報酬の問題についても、対象になっている移植の適用基準である「健腎」に、「病腎」は該当しないとの厚労省の説明に対して、「40歳を過ぎたらほとんどの腎臓は傷んでいると聞く。純粋な健腎などないのではないか」(杉浦衆院議員)

●「全国の病院で修復された腎臓が多数移植されている。これは健腎でいいのか。健腎であるかそうでないかを誰が決めるのか。そもそもれまで保険診療として認めてきておいて、“後出しじゃんけん”で処分するのはおかしい」(衛藤参院議員)と不快感をあらわにした。

●自らが医師で移植医療に詳しい古川参院議員は、「医師は臨床で医療を行っている。今回は患者さんを目の前にしてやむにやまれずやってきた事例で、処分対象になるようなものではない患者さんがこれだけ納得しているのに規制するのはいじめに等しい。今後は臨床研究の指針にのっとり、保険診療として認めるべき」と発言。 さらに「『特殊療法』というが、新しい機器を使っているわけでもなく未承認の薬剤を投与しているわけでもなく、腎移植という通常の形態でやっている。医者は既存の技術を積み重ね、日々クリエーティブに自らの術法を改善している。ニーズがあるのであれば、新しい制度を確立すべき」と提言している。

●杉浦衆院議員も、次のように疑問を投げかけた。「診療報酬請求上で重大な過失があるというが、あなたたちは事前に警告をしたのか。指導や警告が入り、それでも過失が繰り返された場合に最終的に処分されるのが普通ではないか。これまでは請求するほうも、審査するほうもお互いに過失があったということではないのか。これからの運用で、きちんとやっていくということでいいのではないか」

□2/21「第一回修復腎移植を考える超党派の会」

昨年の5月以来、継続的に勉強会を重ねてきた国会議員の臓器移植問題懇談会が、「修復腎移植を考える超党派の会」となり、その初会合。レストア腎移植(病腎移植)問題への適切な対応策を探ろうとして呼び掛けられた「修復腎移植を考える超党派の会」の初会合に集まった国会議員は、本人出席41名、代理出席27名の計68名。

●平沢勝栄衆院議員が挨拶。「これまで病腎移植問題について勉強会を重ね、厚生労働省、学会、患者さん、医師などの話を聞きましたが、いまだに合点がいかない。厚労省と患者さんの言い分が、大きく食い違っている。我々は、病腎移植の本当のあり方をニュートラルな立場で考えていきたい」

●島村宜伸衆院議員は、「病腎移植によって患者さんの命が救われたという話を聞けば聞くほど、やはり患者さん自身、またご家族の立場で考えるべきだと思います。患者さんの前途に夢を持たせるのが私たちの役割です。各先生は、党派を超えてそうした意思を持っていると思います」と話した。

●深谷隆司衆院議員は、かつての丸山ワクチン問題を引き合いに出しながら次のように述べた。「今回も患者さんの命を守るという大前提に立っての運動です。かつて何万人も助かっているのに、厚労省(当時厚生省)は丸山ワクチンの使用を認めなかった。今回も、患者さんを助ける医師がいて全力で努力をしている。しかも被害者はいない。にもかかわらず、さまざまな面から問題視して、せっかくの医師の努力を無駄にして患者さんの思いもよそに置かれている。これは決して正しい医療行政のあり方ではない。皆で医学を進歩させるためにも、命の危機にさらされている患者さんを守るためにも、鋭意努力していい答えが出せるようにしていきたい」

●山田正彦衆院議員は、「摘出された腎臓が、そのまま活用できるのであればこんないいことはありません。衆議院の厚生労働委員会でも臓器移植法問題がいろいろ討議されていますが、この問題も前向きに考えさせていただきたい」と語った。

●福島豊衆院議員も同意見。「腎移植を待つ患者さんがたくさんおられても、なかなか移植を受けることができないという我が国の状況がある。科学的な議論をするべきであるはずが、議論の前にその道を閉ざすこと自体、すでに科学的ではないのではないか。この場でしっかりと勉強させていただきたい」

●「病腎移植先進国のオーストラリア、アメリカ、イタリアなどの調査報告がなぜないのか」、「厚労省に都合のいいデータだけを出しているのではないか」との質問が出たが、「現在調査中」、「この会合には間に合わなかった」などと答えたのみだった。

●衛藤晟一参院議員は「健腎でなければいけないというが、修復しているのであれば健腎になるのではないか。しかも、これまで国内で多くの病腎移植が行われてきた事実もある。手続き上でも、社会保険庁や厚労省へ病気で摘出した腎臓を移植したとの報告があると聞く。それなのに、いったいどうして処分対象になるのかわからない。学会の判断だというが、薬害エイズの時に煮え湯を飲まされた経験がある。学会は結局、自分たちの保身にしか走らないのはよくわかっている」と語気を強めた。

●会合後の記者会見で 平沢議員は、「厚労省の学会を頼りにしたやり方には、間違いが多々あった。今回は移植学会などの言い分が、本当に適切かどうかの検討が必要ではないか。私たちはニュートラルに、しかしできるだけ早く結論を出すように頑張りたい」と答えた。

移植への理解を求める会 08_05_2