平成19年7月18日
厚生労働大臣
柳澤 伯夫様
臓器移植法の運用指針改正について
(要 望 書)
〒798-4101
愛媛県南宇和郡愛南町御荘菊川2290
移植への理解を求める会
代表 向田 陽二
電話0895-74-0512
拝啓 日ごろ、医療行政の推進に多大の尽力をされていることに対し、心から敬意と感謝の意を表します。
さて、このたび貴省が臓器移植法の運用指針を一部改正し、一般医療における病腎移植の禁止を決定したことは、これまで私たちが再三訴えてきた患者の切実な願いを踏みにじるものであり、患者の、ひいては国民の命を守る立場から、到底認めがたいものです。
移植関係学会の誤解と偏見に満ちた言動に惑わされることなく、貴省が患者本位、国民本位の医療行政を進めるために、今後とも病腎移植の可能性を探り、その早期実施に向けて、前向きに努力されることを、あらためて強く要望いたします。
病腎移植が日常的医療として認められ、腎不全患者が一人でも多く救われる日が来るまで、私たちは全国的な患者運動を継続拡大し、その実現を広く国民に訴えていくつもりです。
今回の改正について、私たちが最も納得できないことは、貴省が移植関係学会の見解を鵜呑みにし、病腎移植を「現時点では医学的に妥当性がない」と断じていることです。
病腎移植の妥当性(安全性と有効性)については、既に移植先進国の多くの事例から、証明されつつあります。何より宇和島徳洲会病院の万波誠先生やそのグループの先生方に病腎移植を受けた患者一人一人の予後を見てもらえば、一目瞭然のはずです。海外のデータをみても、万波先生らの実施例をみても、移植が原因による病気再発は一例もなく、生着率や生存率も死体腎と比べて遜色がないことが、明らかになっています。したがって「現時点では医学的に妥当性がない」という見解は、事実に反しています。
この問題には、移植を望む多数の腎不全患者の命がかかっています。それだけに、医学的な論議を十分に尽くさず、調査委員会の予断に基づく粗雑な調査報告をもとに、禁止の決定をされたことは、まことに、残念で無念でなりません。
しかも、移植に使える病腎は国内で年間二千個前後も捨てられているという事実を関係者は指摘しています。したがって、病腎移植の道を閉ざすことは、移植医療の画期的な進展のチャンスをつぶすことにほかなりません。献腎移植ももちろん不可欠ですが、病腎移植も、移植医療の推進に欠かせないものであることは明らかです。
万波先生らが進めてきた病腎移植に関しては、手続きの問題などで論議はありますが、不満を訴えるドナーは一人もいません。むしろ「役に立つのなら喜んで病腎を提供したい」という人がほとんどです。一方、レシピエントの多くは「三年でも五年でもいい、透析から解放され、もう一度元気な生活をしたい」といった思いで移植を受けています。仮に生着率が悪くても、病気再発の可能性があったとしても、患者にとっては、少しの期間でも透析から解放され、健康的で質の高い生活ができるとことが何より大きいのです。
それでも貴省が、病腎移植に医学的な妥当性がないと言われるのなら、その明確な根拠を示してほしいものです。その判断は、移植関係学会の粗雑な調査を基にしたものではなく、臨床現場の事情に詳しい、より能力の高い専門家の手で、あらためてドナーとレシピエント双方の緻密な追跡調査をしたうえで、されるべきです。
最近の報道によると、海外の移植先進国では病腎移植が日常的に行われている例もあります。したがって、病腎移植は、日本の移植関係学会が非難するような「考えられない医療」でも「人体実験」でもありません。むしろ問題なのは、日本の移植医療が大きく遅れていることであり、日本の関係学会があまりにも閉鎖的、保守的で、世界の流れから取り残されていることです。
貴省も、学会も海外の移植事情にもっと目を向け、病腎移植を、当たり前の医療として認識されることを、何よりもまず、強く訴えたいと思います。敬具
連絡先 移植への理解を求める会事務局
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